太陽光発電セミナーに参加してみては?ブログ:19-11-23
自宅の脇に花屋を構えて一年になる。
奥さんと始めた小さな店。
近所の幼稚園に通う一人息子は、
帰ってくると真っ先に店の中に飛び込んでくる。
客がいる時は店内に入らないよう言い聞かすが、
5歳の息子には、なかなか分かってもらえない…
その日は、
いつになくわたくしの足元から離れようとしなかった。
下を向いて何かごそごそやっている様子。
何度注意しても聞かない息子の態度に腹を立てたわたくしは、
つい息子の顔の前でさっと右手をあげた。
覚悟ができていたのか、
息子は両目をギュッと閉じて固まっている。
「いい加減にしろ!」
口で叱りながら何気なく息子の手元を見ると
何やらしっかりと握りしめている。
薄眼を開けながら息子は、
「お父さんとお母さんにプレゼント」
と手を伸ばす。
束ねられた花が2つ、
それぞれがラッピング用のセロファンでまかれ、
バランスは悪いがきっちり、リボンまで結んである。
聞くと、お母さんの日も近かったので、
奥さんに自作の花束を渡したかったらしい。
花の扱い方を教えたことなどないのだが…
よく見ると、結ばれたリボンの先は、
うまい具合にくるくるとカールしている。
こんな短時間のうちに、
わたくしのどなり声にもひるまず、よくここまで作れたものだ。
息子ならではの感性と集中力、
そしていつの間に覚えたのか、その観察力に驚いていると、
さっきまでの怒りは自然に消え、顔を張るつもりであげた右手は
いつの間にか力も抜けて、坊主頭の上に軽く置かれていた。
一つでなく二つの花束を作った
息子の優しい気持ちがうれしかった。
その日の夜、もう一つの花束は
リボンが外されぬまま自宅のキッチンで飾られていた。
川元誠一
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